t検定とF検定の基本の違い
QC検定で頻出の「t検定」と「F検定」は、どちらもデータに差があるかを判断する検定ですが、
焦点が違います。
| 検定の種類 | 比べる対象 | 主な目的 |
|---|---|---|
| t検定 | 平均の差 | 2つのグループの平均に差があるか調べる |
| F検定 | 分散の差 | 2つ以上のグループの“ばらつき”に差があるか調べる |
つまり、
- t検定:中心(平均)に注目する検定
- F検定:広がり(分散)に注目する検定
どちらも「差があるのか?」「その差は偶然か?」を数字で説明するための道具です。
どんなときに使い分けるのか?
t検定とF検定の使い分けは、**“何を比較したいのか”**で決まります。
| 状況 | 使う検定 | 目的 |
|---|---|---|
| 2つの工程の平均を比較したい | t検定 | 工程Aと工程Bで性能に差があるか? |
| 2つの工程のばらつきを比較したい | F検定 | 工程Aと工程Bで安定性に差があるか? |
| 3つ以上の工程を比較したい | 分散分析(ANOVA) | どの工程の平均が異なるか? |
💡たとえば:
「工程AとBの平均寿命に差があるか?」→ t検定
「AとBのばらつきが同じか?」→ F検定
「A・B・Cのどれが異なるか?」→ ANOVA(分散分析)
検定の目的を“データの中心を見るのか・広がりを見るのか”で整理すると、一気に混乱が減ります。
具体的な例題で理解する
🧮 例題①:t検定(平均の差)
| グループ | 平均値 | 標準偏差 | サンプル数 |
|---|---|---|---|
| 工程A | 50.8 | 0.6 | 10 |
| 工程B | 50.0 | 0.5 | 10 |
1️⃣ 帰無仮説:μA=μB(差がない)
2️⃣ t値を計算 t=50.8−50.00.6210+0.5210≒3.16t = \frac{50.8 - 50.0}{\sqrt{\frac{0.6^2}{10} + \frac{0.5^2}{10}}} ≒ 3.16t=100.62+100.5250.8−50.0≒3.16
自由度18のt分布表より臨界値 ≒ 2.10
→ t=3.16 > 2.10 ⇒ 棄却!
📊 結果:工程AとBの平均には有意差あり。
🧮 例題②:F検定(分散の差)
| グループ | 分散 | サンプル数 |
|---|---|---|
| 工程A | 0.36 | 10 |
| 工程B | 0.25 | 10 |
1️⃣ 帰無仮説:σA²=σB²(ばらつきは同じ)
2️⃣ F値を計算 F=0.360.25=1.44F = \frac{0.36}{0.25} = 1.44F=0.250.36=1.44
自由度(9,9)のF分布表で臨界値 ≒ 3.18
→ 1.44 < 3.18 ⇒ 棄却できない
📊 結果:工程AとBの分散に有意差はなし。
→ 「ばらつきは同程度」と判断。
分散分析(ANOVA)との関係
F検定は、**分散分析(ANOVA)**の基礎になっています。
ANOVAは、3つ以上のグループを比較するときに使う手法で、
“全体のばらつきを「グループ間」と「グループ内」に分けて分析”します。
| 検定 | 比較する対象 | 数の制限 |
|---|---|---|
| t検定 | 2群の平均 | 2つのみ |
| F検定 | 2群以上の分散 | 2つ以上 |
| 分散分析(ANOVA) | 3群以上の平均 | 制限なし |
💡関係まとめ:
t検定(平均の比較)
↓
F検定(分散の比較)
↓
ANOVA(3群以上の平均差を比較)
このように、**F検定はt検定とANOVAをつなぐ“中間の検定”**なのです。
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まとめ|検定を道具として使えるようにしよう
t検定・F検定は、品質管理の“分析ツール”です。
重要なのは、計算の正確さよりも**「どんな時に使うか」を理解すること**。
✅ まとめポイント
- t検定=平均の差、F検定=分散の差
- t検定は2群、F検定は2群以上でも可
- 分散分析(ANOVA)はF検定を応用した手法
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