QC検定 計算問題

📘 第3章:「管理図のσ判定(X̄–R管理図)」計算演習10問

🔹出題形式:記述+計算過程あり
🔹目的:工程が管理状態にあるかを判断できるようにする
🔹時間目安:各問3分 × 10問(合計30分)


第1問

ある工程で、1ロット5個のデータを5ロット採取した。
各ロットの範囲(R)の平均が R̄ = 0.20 のとき、
σの推定値を求めなさい。
(n=5 のとき d₂ = 2.326)

解答例:

σ = R̄ / d₂
  = 0.20 / 2.326
  = 0.086

第2問

n=5、X̄ = 10.0、σ=0.086 のとき、
**X̄管理図の3σ管理限界(UCL, LCL)**を求めよ。

解答例:

UCL = X̄ + 3 × (σ / √n)
LCL = X̄ - 3 × (σ / √n)

UCL = 10.0 + 3 × (0.086 / √5) = 10.12  
LCL = 10.0 - 3 × (0.086 / √5) = 9.88

第3問

R̄ = 0.25、D₄ = 2.114、D₃ = 0 のとき、
R管理図の管理限界を求めなさい。

解答例:

UCL = D₄ × R̄ = 2.114 × 0.25 = 0.528  
LCL = D₃ × R̄ = 0 × 0.25 = 0

第4問

平均値が安定しているがR値が周期的に上下している場合、
どんな異常が考えられるか?

解答例:

測定機器や作業条件に周期的な変動(例:交代勤務の影響)  
→ 管理状態ではない

第5問

平均値が徐々に上昇している傾向が見られた。
これはどのような異常か?

解答例:

系統的な傾向(トレンド)  
→ 工程の変化が進行中。管理外。

第6問

X̄–R管理図において、
「R管理図が管理内・X̄管理図が管理外」の場合、
どんな状態か?

解答例:

ばらつきは安定しているが、工程平均が変化している。
→ 工程の中心がずれている。

第7問

「X̄管理図が管理内・R管理図が管理外」の場合、
どんな状態か?

解答例:

平均は安定しているが、ばらつきが増減している。
→ 測定条件・作業精度に問題あり。

第8問

X̄管理図で、連続して7点が中心線の同じ側に並んだ。
この場合どう判断するか?

解答例:

「連続点のルール」違反。  
→ 管理外とみなす。

第9問

n=4、R̄=0.15、X̄=50.0、A₂=0.729 のとき、
X̄管理図の管理限界を求めなさい。

解答例:

UCL = X̄ + A₂ × R̄ = 50.0 + 0.729 × 0.15 = 50.11  
LCL = X̄ - A₂ × R̄ = 50.0 - 0.729 × 0.15 = 49.89

第10問

工程が「管理内」=「良品ばかり」とは限らない理由を述べよ。

解答例:

管理図は「ばらつきの安定」を確認するもの。  
規格(合否判定)とは別の基準。  
→ 管理内でも規格外れ品は発生する可能性あり。

✅ まとめ

管理図見るポイント管理限界式(代表)
X̄管理図平均の変化UCL/LCL = X̄ ± A₂ × R̄
R管理図ばらつきの変化UCL = D₄×R̄, LCL = D₃×R̄
σの推定R̄/d₂ばらつき基準値の計算に使用

📍ポイント

  • 管理図は「規格」ではなく「工程の安定性」を見るツール。
  • 異常傾向(連続点・周期性・傾向)は早期発見のサイン。
  • 試験では A₂・D₃・D₄・d₂の値 を与えられるので、暗記不要。
  • ただし、「どちらの管理図で異常が起きているか」を問う問題が頻出。

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