🔹忙しい社会人でも、理解から始めるQC学習を。
計算問題を解くうえで、最もつまずきやすいのが「記号の意味」と「式のつながり」。
このページでは、QC検定2級で使われる主要な記号・用語・その使い方をすべて一覧にまとめました。
「公式を丸暗記」ではなく、“なぜその式を使うのか” を理解することが最短合格への近道です。
朝の15分、昼休み、通勤時間などのスキマ時間に、ぜひこの表で基礎を整えてください。
記号・用語 | 読み方 | 意味・定義 | 主な使用章 | 使い方・ポイント | 理由・考え方 |
---|---|---|---|---|---|
x̄ | えっくすバー | 標本平均 | 第1章~第10章 | データの代表値(中心)を表す | データを1つの値で代表させるため |
μ(ミュー) | 母平均 | 全体(母集団)の平均値 | 第7章・第10章 | 標本から推定される真の平均 | 母集団の中心を理論上で示す |
σ(シグマ) | 母標準偏差 | 母集団全体のばらつき | 第1章~第10章 | 公式に直接代入できる場合に使用 | ばらつきの“理想的な”基準値 |
s | 標本標準偏差 | 標本データから求めたばらつき | 第1章・第10章 | σがわからないときに代用する | 母集団を直接測れないための近似 |
s² | 標本分散 | 標本データのばらつきの2乗平均 | 第1章・第10章 | s² = Σ(x−x̄)² / (n−1) | 「n−1」で割るのは母分散の推定誤差補正 |
n | 標本サイズ | データの個数 | 全章共通 | √n が標準誤差や管理限界に関係 | データが多いほど信頼性が高まる |
R | 範囲(レンジ) | 最大値−最小値 | 第3章 | R̄(平均R)でばらつきを評価 | 小集団データでばらつきを簡易的に把握 |
R̄(アールバー) | 平均範囲 | 各ロットの範囲Rの平均 | 第3章 | R̄ = (R₁+R₂+…)/m | 管理限界式に使用される代表値 |
σ̂(シグマハット) | 推定標準偏差 | R̄/d₂ で推定されるσ | 第3章 | σ̂ = R̄ / d₂ | 標準偏差を簡易的に推定する近似法 |
A₂, D₃, D₄, d₂ | 定数 | サンプル数nにより決まる管理図定数 | 第3章 | 管理図や限界線計算に使用 | 統計的に定められた係数 |
Cp | 工程能力指数 | 規格幅に対する工程ばらつきの比 | 第2章 | Cp = (USL−LSL)/(6σ) | 工程の「潜在能力」を数値化 |
Cpk | 工程能力指数(中心考慮) | 平均のズレを含めた工程能力 | 第2章 | Cpk = min[(USL−μ)/(3σ), (μ−LSL)/(3σ)] | 実際の品質をより正確に表す |
USL・LSL | 規格上限・下限 | 製品の許容範囲の上限・下限 | 第2章 | Cp, Cpk の計算に必須 | 規格適合性の基準となる値 |
σルール | シグマルール | 正規分布内の確率目安 | 第6章 | ±1σ=68.3%, ±2σ=95.4%, ±3σ=99.7% | 正規分布を理解する基本比率 |
r | 相関係数 | 2変数の線形関係の強さ | 第5章 | −1≦r≦+1 | +1完全相関、0無相関、−1逆相関 |
R²(決定係数) | アール二乗 | 相関の強さを平方で表した指標 | 第4章・第5章 | R² = r² | データの「説明力」を表す指標 |
b | 傾き | xが1増加したときのyの変化量 | 第4章 | b = Σ(x−x̄)(y−ȳ)/Σ(x−x̄)² | xとyの影響関係を数値化 |
a | 切片 | x=0のときのyの値 | 第4章 | a = ȳ − b×x̄ | 回帰直線の基準点 |
e | 残差 | 実測値−予測値 | 第4章 | e = y−ŷ | 回帰式の当てはまりの良さを確認 |
Z | 標準化値 | 平均からの偏差をσ単位で表す | 第7章 | Z = (x̄−μ)/(σ/√n) | 異なる分布を比較できる形にする |
t | t値 | 標本分散が未知のときの標準化値 | 第10章 | t = (x̄−μ)/(s/√n) | 母分散が不明でも検定可能にする |
λ(ラムダ) | 故障率 | 単位時間あたりの平均故障数 | 第9章 | λ = 1/MTBF | 故障発生の平均速度を表す |
MTBF | 平均故障間隔 | 故障と故障の間の平均時間 | 第9章 | MTBF = 1/λ | 製品信頼性の尺度 |
R(t) | 信頼度 | 時間tで故障しない確率 | 第9章 | R(t) = e^(−λt) | 信頼性工学の中心式 |
F(t) | 故障確率 | 時間tまでに故障する確率 | 第9章 | F(t) = 1 − R(t) | 故障発生確率の表現 |
P(X=k) | 確率関数 | 事象がk回発生する確率 | 第8章 | 二項:nCk p^k (1−p)^(n−k) ポアソン:(λ^k e^(−λ))/k! | 離散データの確率を算出 |
SE | 標準誤差 | 標本平均のばらつき | 第7章 | SE = σ / √n | 標本が母平均にどれだけ近いかを示す |
H₀(帰無仮説) | けいむかせつ | 「差がない」という前提仮説 | 第7章 | 検定で最初に立てる基準仮説 | 統計的判断の出発点 |
H₁(対立仮説) | たいりつかせつ | 「差がある」という主張 | 第7章 | H₀を棄却できればH₁を採択 | 結果としての主張を裏付ける |
α(アルファ) | 有意水準 | 誤ってH₀を棄却する確率 | 第7章 | 例:5%=Z=±1.96 | リスク許容度の設定基準 |
📘 補足:公式と概念の「つながり」
分野 | 代表公式 | 概念の流れ |
---|---|---|
代表値・ばらつき | x̄, s, σ | 「平均と分散」でデータの特徴をつかむ |
工程能力 | Cp, Cpk | σで工程のばらつきを数値化 |
管理図 | X̄±A₂R̄ | σを“時間軸”で監視する |
回帰分析 | y=a+bx, R² | データ間の関係性を数値で説明 |
検定 | Z, t | 差が偶然かどうかを判断 |
信頼性 | R(t)=e^(−λt) | 故障の確率を時間で表現 |
確率分布 | 二項・ポアソン | 不良や発生回数の確率を推定 |
🔹知識を「使える力」に変えていこう。
QC検定は、単なる暗記試験ではありません。
計算式の1つひとつが、現場の“品質を守る判断力”につながっています。
この表を手に、
- 「なぜこの記号を使うのか?」
- 「どんな場面で役立つのか?」
を意識して学び続ければ、知識が“実践力”へと変わります。
今日の理解が、明日の品質をつくる。
一歩ずつ、確実に積み上げていきましょう💪✨