QC検定 計算問題

🏭 第2問(レベルアップ):不良率・歩留まり・工程能力指数(Cp・Cpk)


■目標

  • CpとCpkの違いを理解する。
  • 正規分布に基づく規格内率・不良率を計算できる。
  • 工程能力の考え方を「ばらつき」と「位置ずれ」の両面からつかむ。

【問題1】Cpの計算

規格:100 ± 6 mm(LSL=94、USL=106)
工程の標準偏差 σ=2 mm
Cpを求めなさい。

解答・解説:
Cp =(USL-LSL)÷(6×σ)
=(106-94)÷(6×2)
=12÷12=1.00

▶︎Cp=1.0は「ばらつき幅(±3σ)が規格幅と同じ」。
ギリギリ規格内で、不良のリスクが高い状態。


【問題2】Cpkの計算(平均がずれている場合)

規格:LSL=94、USL=106
平均値 μ=101、標準偏差 σ=2
Cpkを求めよ。

解答・解説:
Cpk=最小値{(USL-平均)/(3σ),(平均-LSL)/(3σ)}

=最小{(106-101)/(3×2),(101-94)/(3×2)}
=最小{5/6,7/6}=0.83

▶︎平均が上にずれているため、上側(USL)の余裕が小さくなっている。
→ 実質的な工程能力は「0.83倍」に低下。


【問題3】CpとCpkの違い

Cp=1.00、Cpk=0.80 のとき、どのような状態か?

解答・解説:
Cp=1.0 → ばらつき自体は規格にちょうど収まっている。
Cpk=0.8 → 平均が中心からずれている。

▶︎つまり「工程の精度はあるが、中心がズレている」状態。
→ 設備調整や基準値の見直しが必要。


【問題4】Cp > 1.33 の意味

Cp=1.33 以上の工程はどのように評価されるか?

解答・解説:
Cpが1.33を超えると「規格幅に対してばらつきが十分小さい」状態。
一般に、安定して高品質な工程とされる。

▶︎Cpkも1.33以上なら「ほぼ不良ゼロ」の安定工程。


【問題5】不良率の算出(標準正規分布)

平均100、標準偏差2 の工程で、
規格が 94~106(±3σ) のとき、規格外(不良)の確率はいくらか?

解答・解説:
±3σ の範囲に入る確率 ≒ 99.73%
したがって、不良率 = 100-99.73=0.27%(両側合計)

▶︎つまり 0.27% ≒ 2,700ppm の不良率。
(品質レベル3σの代表値)


【問題6】6σ(シックスシグマ)レベルの意味

6σレベルの工程は、規格外の確率がどの程度か?

解答・解説:
±6σ の範囲に入る確率 ≒ 99.99966%
不良率 ≒ 0.00034% = 約3.4ppm

▶︎6σは「100万個中3~4個の不良」。
世界標準の高品質レベル。


【問題7】平均のズレとCpkの変化

規格:100 ± 6
標準偏差 σ=2
平均が100→102にズレたとき、Cpkはどう変わるか?

解答・解説:
USL=106、LSL=94
平均100のとき:
Cpk=最小{(106-100)/(3×2),(100-94)/(3×2)}=1.00

平均102のとき:
Cpk=最小{(106-102)/(3×2),(102-94)/(3×2)}
=最小{4/6,8/6}=0.67

▶︎わずか2mmのズレでCpkが0.67に低下。
平均の偏りが品質に与える影響は非常に大きい。


【問題8】CpとCpkの改善策

ある工程で Cp=1.2、Cpk=0.8。
改善の方向性を2つ述べよ。

解答・解説:
(1) 平均を規格中心に近づける(中心化)
(2) σを小さくしてばらつきを減らす(管理強化)

▶︎Cpは「ばらつき」、Cpkは「ズレ」を示す。
→ 両者をバランス良く改善するのが品質管理の基本。


【問題9】歩留まりの意味と求め方

歩留まり(Y)は「規格内製品数 ÷ 全製品数」で求められる。
平均100、σ=2、規格94~106 の場合、歩留まりを求めよ。

解答・解説:
±3σ内の確率 ≒ 99.73%
したがって歩留まり Y=0.9973(=99.73%)

▶︎歩留まり向上は、ばらつき(σ)低減で実現できる。
→ 設備改善や温度管理などが直接効果をもつ。


【問題10】Cp・Cpkの評価基準(まとめ)

次のCp・Cpkの値をもとに工程を評価せよ。

CpCpk状態
0.80.7ばらつき大・中心ズレ。要改善。
1.00.9規格内だが不良発生の可能性あり。
1.331.25安定工程。顧客要求を満たす。
1.671.60優秀工程。高品質維持可能。

解説:
・Cpが高くてもCpkが低い場合=平均がずれている。
・両方高い場合=「中心化」かつ「安定」。

▶︎Cp=ばらつきの能力
▶︎Cpk=位置の正確さ
この2つをセットで見るのが品質評価の基本。


■この章のまとめ

項目式・定義ポイント
Cp(USL-LSL)÷(6σ)ばらつき能力
Cpkmin{(USL-平均)/(3σ), (平均-LSL)/(3σ)}ズレを考慮した実力値
歩留まり規格内率(%)正規分布表で求める
σレベル±3σ:99.73% / ±6σ:99.99966%品質レベルの目安

💡 1級につながる考え方

  • Cp・Cpkは単なる計算ではなく、**「分布の形」「工程の安定性」**を統計的に示す指標。
  • 1級では、平均・分散の推定誤差F検定による工程比較正規性の検証などに発展する。
  • CpやCpkを「統計的管理状態にある前提で使う」ことを常に意識しよう。

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